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第11回「学生スポーツとコンプライアンス」シンポジウム 
(敬称略)
   
コーディネーター  水田 雅博  立命館スポーツフェロー会長
パネリスト     藤原 正典  元阪神タイガース 硬式野球部OB
           賀來 昌一郎 立命館大学体育会本部委員長
           高田 侑   立命館大学体育会本部総務部
          田中 稔   立命館スポーツフェロー副会長
 
 2018年(平成30年)
9月8日(土)
立命館大学衣笠キャンパス
水田 雅博 藤原 正典 賀来昌一郎 高田 侑  田中 稔
 
水田 
 立命館スポーツフェロー会長の水田です。ソフトテニス部の監督を36年しております。父親は立命館大学で体育教員をしていました。専門はボクシングでした。ボクシングと言いますと、先程からこのステージの準備、マイクの交換などをしていただいています、背の高い立命館スポーツフェローの総務・事業委員長の寺地さんは、WBC・ライトフライ級世界チャンピオンの拳四朗選手のお父さんであります。今日はそういう事業であると認識していただければいいと思います。
 先程、森田先生からお話がありましたとおり、さっそく時間を無駄に使わないようにして行きたいと思います。
 まずは、立命館スポーツフェローの副会長で、元立命館大学スポーツ強化センター課長の田中さんから、ご講演2つについて、口火を切っていただきたいと思います。

田中
 最初に、この「学生スポーツとコンプライアンス」を開始した理由なんですが、私は2002年からスポーツ強化センターにいましたが、今から12年前の2006年、月曜日の5時限目に、衣笠キャンパスとびわこ・くさつキャンパスの体育会の学生を集めて授業を始めたのです。月曜日はオフのクラブが多いから学生は本当に嫌がりました。でもやりました。理由は簡単なんです。大学生になったら、大学の人と接する時間が非常に少ないのです。私はその前に高校の教師もやっていたのですが、スポーツ選手は高校と大学とは扱いが違うのです。大学に入ったら、クラブによっては監督・コーチが毎日来ないこともあり、大学の人と接する機会が少ない。そうしたら、悪い言い方ですが、たがが緩んでしまう。大学の考え方をどこかで伝えていかなければならないと授業を始めました。2006年、京都の某大学のアメフト部が問題を起こしました。その翌年、違う京都の大学でラグビー部が問題を起しました。また、東京の大学では応援団でいじめがあって、他の大学では大麻所持がありました。このため2008年、体育会OBとして何か学生たちと話をする機会を持つ必要があるということで、本講演会「学生スポーツとコンプライアンス」を始めました。大学に入学したばかりの学生は高校の影響がすごく大きいのです。それぞれの種目では、君たちは偏差値60から70ぐらいのすごいエリートなのですが、立命館大学に入学してどちらをどう向けばよいかわからない時に、社会全体のコンプライアンスやマナーを教える。それは上から偉そうに言うのではなく、接しなければいけないということで、そのような授業を持ったり2008年に本講演会をスタートさせたのです。今回、皆さんとお話をしようと藤原さんに貴重な時間を割いてお越しいいただき、その後は森田先生に締めのお言葉をいただくということでやっています。また来年もいろんなところを変えてやっていかなければならないと思っていますので、今年の話は君たちから来年の新入生に伝えてください。それがプラスになると思います。

水田
 ありがとうございます。
 本講演会の趣旨等について改めて皆様にお伝えをしていただきました。もともとの経緯と、今日、藤原さんと森田先生から非常に幅の広い内容の濃い講演を聞かれたと思いますが、体育会本部から参加していただいている、しかも昨年もこのパネリストを経験していただいた、賀來委員長から感想や改めて感じられたことなどをお話いただきたいと思います。

賀來
 貴重なお話ありがとうございました。藤原さんのお話の中で、目標達成のための環境作りということがあったのですけれど、環境作りは目標を達成するために役に立つのですけれども、法令遵守という面や不祥事の防止にも役立つのではないかと感じました。また、森田先生がおっしゃったとおり、1回生の時に先輩の行動で嫌だと思うことを先輩になってしてしまうことがありますが、そういうことをなくしていけば良い組織になり、コンプライアンス・法令順守に繋がることになると感じました。

水田
 ありがとうございました。
 同じく体育会本部の高田さん、本日の講演を聞かれて、また、1回生の時にこの講演を聞かれて、改めて体育会本部の立場からのご意見をお願いします。

高田
 お話を聞いて、一人一人が立命館大学体育会としての自覚を持つことが一番大切だとあらためて思いました。藤原さんのお話を聞いて、私も長期的な目標は設定したのですが、中期・短期と短い期間の目標を持って競技生活・学生生活をやって行くのが大切だと感じました。

水田
 藤原さんからは学生時代のお話を非常に印象的にされたと思いますし、そのあと森田先生から「伝統と伝承の違い」というお話がありました。私から藤原さんに質問ではないですが、クラブもそうですけど、大学にしっかりと通われたというようなお話がありまして、そして今、4歳の子供とお腹の中に赤ちゃんがいて幸せですということですが、ここにおれらる学生の皆様は、青春時代の最も大切な時間を立命館大学で過ごしています。せっかくの機会ですので、学生生活がどう有意義な時期だったのか、もう一度お話していただけたらと思います。

藤原
 いろんな理由で入学されたと思いますが、せっかくの大学4年間を競技だけに留めてしまうのはもったいないことで、学業でも遊びでも使えるところはすべて使って、活用できるところはすべて活用して、大学時代をより充実させてほしいと思います。大学時代にできた友人というのは本当に一生のものだと思います。私も今、大学時代の友人とは頻繁に連絡をしていますし、今後も関係は続いて行くと思います。

水田
 ありがとうございます。卒業されてプロ生活から今のお仕事をされるまでに、ご家族も結構大変だったと思います。そのお話もまた機会があればお聞かせていただけたらと思います。
 田中副会長、もう一度、今までの話をお聞きいただいて、何かお願いします。

田中
 皆さん、アジア競技大会のバスケット選手の不祥事をどう思いますか。日の丸をつけたウェアを着て不祥事を起こし、現地で謝罪して羽田空港で謝罪して、あの選手たちかわいそうだけど、日の丸つけて、税金を使ってとか言われています。私も2年前まで相撲部の監督をしておりまして、内容は全然違う小さな話ですが相撲部でもいろいろあったのです。身長が190センチ、体重が130キロくらいあるデカい学生が、立命館大学相撲部のウェアを着て阪急・西院駅近くの西大路通りの信号のないセンターラインに立っていたのです。「デカいやつが立っているな」と、通行人みんなが見るのです。ウェアの背中に「Ritsumeikan Univ」、前に「R」って書いてある。誰でも立命館大学の相撲部員か柔道部員かと思います。即、西院駅から本人に電話しまして、「今どこにいるのか」〜「今下宿です」。「そうか、今何しているのか」〜「今からバイクに乗って出かけようと思っています」。一つを起したことで二つ嘘をついている。次の日にその学生を呼び出して話を聞くと「パチンコをしていて、バイクを止めていたのが反対側だったが、信号を渡るのは邪魔臭いから、センターラインを横断しました」。立命館大学に身長が190センチある学生はわずかしかいません。このように大学のウェアを着ているということは、その大学のすべてを表すことだから、そのようなことは避けなければならないと思います。二つ目は嘘をついたこと。正直に「すいません今どこどこです」と言えばまだ許せたけど嘘をつく。こういうのはだんだん大きくなっていくと思います。その学生は「バレるとは思っていませんでした」と言っていましたが、バレると思わなくてもバレるんです。
 先程お話れた森田先生は、私の相撲部の九つ上の先輩で、学生時代から伝統と伝承の違い等についてもよく聞きました。こういう話は若い時にはあまり頭に入らないのです。けれど10のうち1でもいいから持って帰ってほしい。1でも持って帰ったら何回か聞くうちに、3、4と入ってくる。そのようにしてだんだんと経験を積み重ねてほしいと思います。
 相撲の練習なんて楽しいことないです。投げられて泥まみれになって、顔が腫れて突っ張れれて、頭からガーンと当たって、本人は痛いだけです。そんな理不尽の中でやっていました。わけのわからないままウサギ跳びをして、「塩を食え」と塩を口に入れてそのままウサギ跳びをやらされました。そんなものは伝統ではないということは、森田先生のお言葉からわかることであって、伝統とはいいものを残して行くことです。今の立命館は各キャンパスにトレーナー等がいらっしゃいます。そこで科学的なトレーニングについて指導を受けて新しい伝統ができると思います。
 それと「若い考え方」、「若返り」ということを各部でも使うと思いますが、若返りというのは平均年齢が若くなるということではないということを君たちは覚えておいてほしい。若返りというのは、若い考え方、若さのある柔軟な考え方を持つ人たちによる組織に変えていくということだと考えてください。21、22歳の先輩が引退して、20歳ぐらい後輩の代に変わることは若返りではないのです。
 先程藤原さんがおっしゃった、「○○したい」ではなく「○○をする」という、実現の可能性のある長期目標を決める。そのために短期・中期の計画を立て、それをどうしたら自分が実行できるかということを考えるということが大切だと思います。君たちは、各種目で言えば偏差値は60〜70ある。それをもっと上の選手になるためには、柔軟な捉え方で自分で考えることを膨らませて行ってよいのではないかと思います。

水田
 ありがとうございます。
 学生スポーツは非常に注目されて、大学が活性化していく過程においても、学生スポーツの位置付けとは大変大きい。アジア競技大会の不祥事の話が出ましたが、そのようなことが起らないように、賀來委員長にしてもいろいろと活動していると思うのですけど、田中副会長のお話、これからの計画、それから委員長としての使命感のようなことも含め、感じられることがあればお話しいただきたいと思います。

賀来
 体育会委員長をやらしていただいている中で、フェンシング部の主将もしています。自分で考えて所属するチームや組織の仲間のことを常に知ることによって、そこに何か変化があった時に、不祥事が起きる前の対策ができるということを意識していきたいと思っています。

水田
 ありがとうございます。
 皆さんのクラブにはそれぞれの個性があると思いますが、去年はこの講演会にて、空手部OBから、クラブが廃部になって復活するまでの苦労話をしていただきましたが、高田さんが所属する少林寺拳法部には、立派な学生さんが沢山いらっしゃい、厳しく伝統を守っていると思いますが、自分たちの仲間の中には、絶対大丈夫という雰囲気が漂っているか、やっぱり気をつけなければいけないということが時々感じられるか、どうでしょうか。

高田
 少林寺拳法部の部員に問題のある者はいないので、不祥事は起きないと信じていますが、私も次期主将という立場なので、常に部員に気を配り、何か変化があれば、こちらから声をかけるように心がけています。

水田
 ありごとうございます。
 優等生らしい言葉ばかり返ってくるのですけど、プロの選手というのは、より世間の目が違うものがあり注目される立場にあった思います。それだけに心がけて行かなければならないことについて、皆さんに何かお願いします。

藤原
 危険な者がいたほうが、組織というのは統制が取れるということがあるかもしれません。一人危険な者がいますと周りも気を使います。しかし、優等生ばかりそろった組織というのは、普段から気を使っていないので、何か起きた時に対処できないということが起きうるかもしれません。危険な者がいないからと気を抜くことが、一番危険だと思います。

水田
 ありがとうございます。
 私もソフトテニス部の監督やっていて、大変気を使いました。田中副会長も監督をされていかがでしたか。

田中
 私も大変神経を使いました。
 小さいことへの注意は、学生同士でしていかなければならないと思っています。先程も西大路通りのセンターラインに立っていた部員の話をしましたが、小さな話です。でも、それをネタにしてクラブ内の引き締めができました。普通にバイクを駐輪場に止めて、パチンコをして終わったら普通に信号を守って帰ったら何も目立たないのです。それをちょっと横着をしてセンターラインに立っていた。クラブのウェアを着て不細工なことをしていた。二つ目は嘘をついた。小さなことだけども「次は嘘をついたらだめだ」と指導しました。そういうものがだんだん積み重なっていくものと思います。
 それと、皆さん、ゴミがあれば拾う人は手をあげてください。ゴミを拾う人はゴミを捨てないのです。例えば原谷グランドや柊野グランドで床清掃をするけれども、ゴミを拾う癖がついていたらゴミを捨てないから、プラス・マイナスではプラス30ぐらいになるのではないでしょうか。そういう小さなゴミ拾い運動などをやっていたら考え方が変わって非常に良いんじゃないでしょうか。大きなことができなくても小さなことからやっていくことが大事だと思います。そういう事がコンプライアンス、法令順守に結びついて行くと思います。

水田
 ありがとうございます。
 まめにゴミを拾いをしていると。ゴミを拾うことが癖になってしまう。やっぱり心がけかなと改めて感じています。
 一つ皆さんにお願いというよりも知っていただきたいことがあります。よく京都の街が古い都.古都と言われますが、京都の街が古い都で終わってしまったことは1回もなくて、1200年前から常に新しものばかりを求めつつ、それの積み重ねで1200年の街ができています。先程の森田先生のお話ではないですが、皆さんのクラブでも常に皆さんがフレッシュな気持ちで新しいものをつくり出していく、これが歴史。これこそ京都の街にある大学、立命館の味を示せるのだと思っていますので、皆様のこれからの活躍を期待したいと思います。
 最後に時間も押してきましたので、もう一言づつ藤原さんからお話をしていただいて、そして、田中さん.高田さん、最後に賀来委員長の決意を受けて今日締めくくりたいと思いますので、一言ずつアドバイスをよろしくお願いしたいと思います。

藤原
 集団競技・個人競技と競技形態は違えども、結局のところは「個」を高めなければチームも高まりませんし、そのチーム自体の成長もないと思うので、個人の意識を高める事が一番大事だと思います。競技をする時も遊ぶ時もそうですが、常に自分の意識を高める、「個」を高めるという思いを持ってやってもらえば、自然とチーム力であったり、立命館という名前ももっと全国的に及んでいくと思います。皆さんも「個」を高めていく習慣というものを身につけていただければ、こんな素晴らしいことはないと思います。がんばってください。

田中
 私は相撲部の学生を中心に言っていたのですが、大学生になれば、特に下宿生は24時間時間があります。先程森田先生も時間をどう使うかとおっしゃっていましたが、その24時間の使い方が非常に大事だと思います。自由な時間をどう使うか。「自立」それと「自律」、この二つが大学生にとって非常に大事です。それは18歳からの4年間で自分のものにして行く。大きなものだと思います。「自立」と「自律」、この二つのことを頭に入れていただければ良いと思います。

高田
 部活する時も学校に行く時も、自分は立命館大学体育会に所属しているのだということを頭に置いていただければ、コンプライアンス・法令順守に繋がると思います。

賀来
 ここまでネガティブなことをばかり言ってきました。立命館という名前を背負っているのですけど、逆に立命館大学の体育会で活躍をすれば、いい意味で立命館の名前が世間に広がって行くと思います。そういう意味でも、常に立命館大学体育会という名前を背負って活動している、いい意味でも悪い意味でも自分が何かをすれば立命館大学体育会という名前が出るということを、これからもしっかり頭の中にしまっておいて一緒に活動してくれたらと思います。

水田
 ありがとうございます。
 これでシンポジウムを終了させていただきますが、皆さんに「しょうもないことするなよ」て言っているのではなくて、これからの大いなる活躍を期待してのシンポジウムだとご理解してください。
 立命館、皆で強くしようぜ!
 ありがとうございました。


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