ホームへ

第8回「学生スポーツとコンプライアンス」講演会 

  
佐久間 春夫
立命館大学学生部長
(スポーツ振興担当)
 2015年(平成27年)
9月26日(土)
立命館大学衣笠キャンパス 

  学生スポーツにおけるコンプライアンス

1 はじめに
 最近の非常に良い傾向として言えるのは、体育会同士で他のクラブの応援に行くということです。体育会の学生がいろんな面で支援を受けるためには、まずは体育会同士の繋がりが重要になってくるのです。そういう意味では良い傾向だと思っています。
 
 コンプライアンスについては、後のお二人の先生方のご講演の中あるので、私は学生のあり方についてお話をしたいと思います。みんなはアスリートですけど、スチューデントアスリート(学生アスリート)であることを忘れないでほしい。「立命館大学アスリートの誓い」の中で謳っているとおり、一般学生の模範となってほしい。この衣笠キャンパスの正門を入ったところに末川博先生(故立命館大学名誉総長)の「未来を信じ、未来を生きる」との石碑がありますが、輝かしき未来を作るためには、今までがどうだっかはあまり問題ではありません。今どうするのか、これからどうするのか、しっかり目的を持ってもらいたい。5年後、東京オリンピックがあります。目標に向かって今何をするのか。それをしっかりと考えてもらいたい。

 その中で立命館大学でスポーツをすること、どういった意義があるのか。なぜ立命館大学に入学したのか。そしてスポーツができること、今みんなは人生の中で一番幸せな時期です。自分のために時間が使えるということ、こんなにすばらしい時期は人生にそんなにない。この時期に是非悔いのない学生生活を送ってもらいたい。これが私がみんなに期待することです。

 私は軟式テニスをやってきました。コーチもやってきました。迷うことも度々ありましたが、競技にかける勇気もみんなに持ってもらいたいと思っています。
 専門はスポーツ心理学です。スポーツや運動をやることによって心理面にどんな変化をもたらすのか、どんな成長をもたらすのか、日本人選手は自分に対する甘えがあるのです。練習に遅れて行ったり、無目的で練習に臨んだり、自分自身に対する自尊心というのが非常に低いというのが日本人選手の特徴であるのです。

 今までの経験を基にして、みんなに望みたいのはこれ(スライド)です。
 
2 「しっかりとした経験値を基に、勇気を持って挑め!」
 なぜスポーツマンが、体育会の学生が就職がいいのか。日本のトップ150社には一般学生の2倍から3倍近く、体育会の学生が就職率がいいのです。期待されているのは何か。目的を達成するにはどれくらい時間をかけて努力しなければならないのか、これを経験値をして分かっているのですね。いきなりボールを打てるわけではない。いきなり100メートルを10秒で走れるのではない。それまでにものすごい血のにじむような練習があるのです。そして、それを元にして挑まなければならないのです。

3 「高い規範意識と自主性を基に、一般学生のロールモデルになれ!」
  (講義への出席。リーダーシップ、タイム/マネージメント) 
 それから高い規範意識と自立性を元に、一般学生のロールモデルになってほしい。授業をサボらない、群れない、私語をしない、ゼミでもリーダーシップをとれるように。それから、タイム/マネージメントをとれるように。24時間を24時間としてしか使えないのは、機械とか動物だけでなのです。24時間を30時間でも40時間としても使えるのは、人間の特徴でもあるのです。大学ではみんなは一般の学生に比べたらいろんな制限を受けているのです。非常にハンディを背負っているのです。でも、集中して取り組んでほしいのです。みんなが試合で見せるような集中力をもって、是非授業に臨んでもらいたいのです。

4 「無いもの探しでなく、あるものを工夫し、活用せよ!」
  (環境(指導者も)や選手の才能がいくら高くても個々の主体性ががなくては勝てない!)
 そして、これも重要なことですね。無いもの探しではなく、何かあるものを活用して工夫することです。私も学生部長をしていて、いろんなクラブに行っても、もっとこれを変えなければならないのじゃないか、もっとここをケアしなけれいけないのではと思うことがたくさんあるのです。でもいろんな制約があるのです。特に予算面で制約が非常に大きい。そんな中でスポーツフェローの先輩方は、物心両面で支援して下さっているのです。また、今日のような会を催してくれているのです。いろんなことを活用して考えてやってほしいのです。

5 「We Bequeath future of this university into your able hands」
 私たちはこの大学の発展を皆さんに委ねる、大学の発展はみんなの手の中にあると、みんながどれだけ活躍するのか、それが大学の発展につながっていくんだということです。これを期待したいと思います。

 昨年の本講演会でも、私が強く言ったのですけど、全学生約3万6,000人の中で、体育会学生総数は約2,500位です。毎年懲戒処分が出てくるのが全体で約100人。そのうち2割は体育会の学生なのです。こんな嘆かわしいことはありません。何のためにスポーツをやっているのか。みんな技能の向上ばかりを目指しているのです。人間として成長しない。要するにあるべき学生の姿にかけている。今年はまだ半期しか終わっていないのに、懲戒処分の中に体育会員が占める割合が24パーセント、昨年より多いわけです。スポーツはルールを守り始めてスポーツと言える。あるべき学生の姿を追求してもらいたいと思っています。

 先程言いました、体育会の学生がなぜ企業に期待されるのか。これも先程言いいました努力です。それと自主性。それから感謝の姿勢です。みんなが不十分な環境でやっているかもしれないけど、一般学生の授業料がなかり注がれているわけですし、スポーツフェローの皆さんの支援があって、みんなは日々練習できるわけです。やっぱりそれには感謝の気持ちです。ここにあるべき姿、人間的な成長があるのです。だから、就職も良いし、社会的な期待も大きいのです。そしてリーダーシップというもの重要な要素です。先頭に立つ勇気です。チャレンジ精神。これを是非忘れないでもらいたいと思います。

 立命館憲章の中に、「立命館は、教育・研究および文化・スポーツ活動を通じて信頼と連帯を育み、地域に根ざした、国際社会に開かれた学園づくりを進める」と謳っているのです。そして、2015年に制定されました、「立命館スポーツ宣言」もあるのです。体育会で決めた「立命館大学アスリートの誓い」もあります。これはしっかりと覚えておいて下さい。特に3番目の、「私たちは、立命館大学の学生及び体育会各部の部員として誇りと自覚を持ち、常に全学の模範となるように努めます」です。懲戒処分なんてもってのほかです。

コンプライアンスの定義、あたりまえのことをやっていればいいんです。
スポーツ界の常識は社会の非常識と言われています。自分らのクラブの狭い風土は見直してもらいたい。その背景には勝利至上主義というのがあるのです。

 みんなは立命館大学に入学したわけです。卒業すれば、いかに立命館大学の社会的評価が高いか、その恩恵を受けることができると思うのです。さらに、後輩のためにも活躍してもらいたい。

 これは授業の最後にもいつも言うのですけど、日々コツコツと努力すれば、みんなの時代がきっと来るはずです。時間を大切にして、普段の練習に臨んでもらいたいと思います。

 4年後、あるいは3年後、2年後、きっとみんなは見違えるほど我々学生部の誇りに思える体育会出身の学生になっているでしょう。そして、卒業後は、立命館スポーツフェローに入って後輩のために尽くしてくれるということを願って、私の話を終わります。


   ホーム