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第8回「学生スポーツとコンプライアンス」討論会
(敬称略)
   
コーディネーター  水田 雅博  立命館スポーツフェロー副会長
パネリスト 佐久間春夫  立命館大学学生部長(スポーツ振興担当)
       重信 和芳  SMBC日興証券 商品・法人コンプライアンス部副部長
       谷川 尚己  びわこ成蹊スポーツ大学 学校スポーツコース 准教授
      森田 和暉  立命館大学体育会 剣道部3回生
      池上昂志郎  立命館大学体育会 自動車部2回生 
 2015年(平成27年)
9月26日(土)
立命館大学衣笠キャンパス 
水田 雅博 佐久間 春夫 重信 和芳 谷川 尚己 森田 和暉  池上 昂志郎
水田
 ソフトテニス部の監督33年目になります。
 先ほど薬物のお話がありましたが、薬物は1回でもやったら乱用だけど、我々体育会のクラブは不祥事1回でも起こしたら、そのクラブの歴史がなくなります。そんなこともスポーツフェローとして大変気にしておりますので、この討論会大切にしてゆきたいと思っています。
 まず、学生代表の2人から、先ほどの3名の先生のお話を聞いた感想とか意見がありましたらお願いします。

森田
 一番僕が印象に残ったのは、佐久間先生がお話してくださった、立命館大学には、「学生アスリートの誓い」や、「立命館スポーツ宣言」など、よその大学にはないコンプライアンスの制度が充実しているということに誇りを持って、改めて立命館大学体育会として、しっかり自覚を持ってやっていかなければならないと感じました。

池上
 佐久間先生のお話うかがって、一つ目にスポーツ心理ということなんですけど、スポーツと精神的な面は、深い関わりがあると思っていまして、その日の体調によって練習に影響を及ぼすというようなところに関係しているのではないかと思っていました 。
 コンプライアンスに関しては、各部でコンプライアンスの概念について違うと思うのです。僕の部、モータースポーツでいうと、一つでもコンプライアンスに違反すれば事故が起きて死に直結するようなことが起きることが考えられるのです。コンプライアンス違反というのは廃部というものに直結する重要なものになってくるので、一人一人が真摯に持ってもらうべきものだと思っています。
 谷川先生がおっしゃった、ドーピングに関して、やっぱり自分で簡単に手に入る薬物とかでも違反のものが含まれるというのは、知っている人もいたかもしれませんがほとんどの人が知らなかったと思います。知らなかったでは済まされないことを勉強して、スポーツマンシップをもってやっていくことが大切だと思いました。

水田
 今、素直に聞いてもらったことを発言していただいたと思うのですけど、ご講演いただきました3名の先生方も短い時間で、もし、話が伝わらなかったと思われること、話しておきたいことがあるかと思いますので、佐久間先生から一言づつ、もう一歩踏み込んでということがありましたらお願いします。

佐久間
 森田君の発言ですけど、本学がなぜスポーツを重視するのか、特に大きなものとしては、学園アイデンティティの形成というところです。「多様な価値観と行動が存在する今日の大学で、文句なく母校意識を結集でくるのはスポーツしかない」。ここしかない。みんなそれぞれ学生としての学部・学科としての専門性を持っていると思います。そこには、文科省の話ではないですが、人文科学系は削減されたり、非常に偏ったところもあり、学生にとっては、いろんな領域の評価というものがあるかもしれませんが、本学を盛り上げていくには、スポーツの力が大きいですし、それぞれのクラブが勝ったり健闘すれば、ものすごい私自身も高揚感を感じて、こういったのは、スポーツ以外にないと思っています。何の抵抗もなく入って行ける。そして、かつ立命館大学の学生として一体感が持てるという、そのためにはみんなの日々の努力というものが当然背景にあるのです。同じゼミの学生の応援に行こうかとか、是非盛り上げていってもらいたいと思っています。あくまでも「宣言」や「アスリートの誓い」に謳っているように、ある意味では当たり前のことです。学生であるなら、そしてスポーツをやる人であるならば当然のことなので、それを是非徹底してもらいたいと思います。
 それから池上君のスポーツ心理学の話、私も学生時代テニスをやっていて感じたのですが、全く同じグリップのはずなのに、日によってグリップの握りが全然違うのですね。あるいは陸上の選手ならば、日によって体の切れや足の重みが違うのですね。これ何なんだろうと思う。それを解明するために医学部へ行ったこともあるのですけど、これに脳神経系の問題であるのですね。こういったこともやっています。
 コンプライアンスの問題ですが、やっぱり私たちやってはいけないことはやってはいけないのですね。単純な発想です、薬物なんか不注意、私もアレルギー性鼻炎の薬をシーズンになったら飲まずにいられないのですけど、選手それぞれつらい面もあるかもしれないのですけど、当然、作用というものを理解して 、大学生だから自分で調べることも可能であるし、また管理もできるわけです。
 それから言いそびれたのですけど、立命館の体育会の学生は、いい意味でのエリート意識を持ってほしい。自分の普段の行動を律する意味でも、いい意味でのエリート意識を持ってほしい。

重信
 各部によってコンプライアンスの概念が違うと池上君からお話しがありましたが、私の説明の中でも詳しくはお話しできなかったのですけど、法令遵守型と価値共有型があります。例えば自動車部を見てもオフロードで走るのか、一般道で走るのかによって違うのかも知れません。自動車の運転というものは道路交通法というものがあって、その中で制限速度などがあるのですけど、こういう行為はいけません、こういう行為はOKですというのが法令遵守型なのですね。それからもう一つ価値共有型というのは、例えばお話しのあったドーピングにしても、筋肉増強剤を飲まないというのは法令遵守型なんですけど、そもそも価値共有型でいうと「学生アスリートの誓い」にもフェアープレーの精神というのがあるのですけど、そもそも薬物を使って筋肉を増強してというのがフェアープレーの精神からしてどうなのか、というところで考えるべきものがあるのではないかと思います。 こういう行為はしてはいけないという法令遵守型と、立命館のアスリートの方が守らなければならない価値共有型の、2つの価値観をしっかり使い分けていくというのが必要なのかなと思います。
 それといろんな局面で法令と関わってゆきます。すべての法令を覚えられるわけがありません。そうすると何が重要かというと、そもそも倫理観としてどうなのかというところから出発すると、自分の行動がどうあるべきなのかということが分かりやすいのかなと思います。ですから、単にこれは駄目だというのじゃなくて、なぜそれがいけないかという価値観をよく皆さん考えていただいて、その2つを上手く使い分けをしていただければいいのじゃないかと思います。

谷川
 スポーツで一番大事なのはリスペクトの精神かなと思っています。それは相手を尊重することも、ルールを尊重することもそうだし、これが基本となると覆います。
 ルールを守るということは、社会の中では当然だし、スポーツの中でも当然のことだと思います。アンチドーピングについてもルールを守るということは、自分の命を守ることにもつながるので、それをまず第一に大切にしてほしいなと思います。
 それから、検査を要求された時には、要求を受け入れて検査を受けるという心がけてほしいと思います。そして、ドーピングに引っかからないように、自分でサプリメントというようなものは特に注意してほしいと思います。特に外国のサプリメントというのは、中身が非常に不鮮明なものが多いと言われていますので注意が必要です。
 それと、最後に自身が関わっているのか関わっていないのかに関わらず、正直に伝えることが大事かなと思います。自分の友人がそんなことをしていても伝えることが大事だと思います。それが公正なスポーツに結びつく。スポーツは文化だと言いたいのですが、まだ言えないところが日本にはあるのです。そのためにもみんなでクリーンな、リスペクトの精神をもったスポーツにしてほしいと思います。
 それに、自分の立場と役割を伝えるということで、規則違反にならないように相談することが大事だということです。過去に違反したことを正直に伝えるということです。

水田
 私は、佐久間先生がおっしゃたとおり、君たち今が大事と言われたことが本当に印象に残っていまして、それが人間的な成長に結びつく大事な時なのだというお話しであったと思っています。今一番大事な時期をクラブで過ごしておられて、森田君、今のお話しを聞いてご意見がありましたらお願いします。また、道路交通法の話まで出てきましたが、池上君も今までの話を聞いてご意見ありましたらお願いします。

森田
 剣道には競技的なルールがありまして、それを守ってやっていくという競技でして、コンプライアンスは重視されていると思います。

池上
 法令遵守型と価値共有型の二つのことにお話ししていただいたのですが、やはりそのとおりだと思います。各部にとってコンプライアンスの概念が違うと言ったのですが、この会場にいらっしゃる皆さんが、一つの立命館の体育会のコンプライアンスに基づいて、一人一人が不祥事を起こしたら部活にも迷惑ががかるし、立命館の名前にも傷つけてしまうという認識を持たなければなりません。共有ということは大事だなと思います。

水田
 時間も少なくなってきましたので、谷川先生、重信先生、佐久間先生から立命館のこのアスリートに、一言何か期待することをお話ししていただければと思います。

谷川
 今、関西の大学スポーツが関東に押されて、選手が関東の大学に流れるという傾向があるので、関西から元気を出すためには、立命館が元気を出していただかなえればならないと思っています。そういったことをびわこ成蹊スポーツ大学の学生にも言っているのですけど、みんなが一歩でも半歩でも力を出し切ってくれたら、もっと関西の大学に選手も集まるし、関西の大学も表に出てくるのじゃないかと思うのです。それぞれの部で力を合わせて頑張ってほしいと思います。

重信
 剣道部の森田さんにお聞きしたいのですけど、剣道とは生涯スポーツだと思っていて、普段はおじいちゃん、おばあちゃんかもしれませんが、名誉七段とか八段とか60歳、70歳の剣士の方がいらっしゃると思います。私は先程、人格だとか品格だとか、風格という話をさせていただきました。そういった観点から、名誉七段、八段とか、高齢の高段者の方々が道場にいらっしゃった時、森田さんはどのように感じますか?

森田
 最初道場に入って時は、年配の人が来たなとしか感じないのですが、いざ防具を着けて構えた時には威圧感とかが伝わってきます。すごい人なんだなと圧倒されます。

重信
 はやりそうだと思うのですけど、先程、谷川先生からリスペクトというお話しがありましたが、まさにそういった人格、特に風格ですよね。これってやっぱり一生涯続けていかないと生まれてこないものだと思うのです。高校とか大学が一番基礎であって、そこで力を蓄えておかないとそういう風にならないのかなと、一流にはならないのかなと思いますので、是非4年間、いろんなことがあるかと思いますが、歯を食いしばって取り組んでいただけたらと思っています。

佐久間
 是非感謝の気持ちを忘れないでほしい。私も学生部長になるまで全く気がつかなかったのですが、学生部、特にスポーツ強化オフィスの職員がみんなのためにいろんな企画をやっているということに心を配ってほしい。そこに非常に残念なのは、アスリートジムを利用するクラブも多いのですが、そこで全然挨拶もしない。こちらが声をかけないと何も挨拶をしないのですね。挨拶はいろんな意味での基本です。お互いに挨拶をしましょう。
 それから、私も奈良から2時間かけで電車通勤しているのですけど、電車の中で立命館のジャージを着て、「我喜びのはた迷惑」というのか自分たちだけ楽しい、自分たちの世界だけ電車の中で作っている、バスの中で作っている。非常にはた迷惑。是非注意してほしい。
 今、立命館大学はどういった評価を受けているのか、いかに立命館大学が素晴らしい大学になってきたのか。みんなはそれを一層高めていく責務があるのです。是非それをお願いしたいと思います。
 それから、この中にもそれぞれの種目の指導者になりたいと思っている人結構多いと思いますが、スキルと体験だけではいい指導者になれない。名選手でもいい指導者にはなれない。指導者に必要なのは教養です。可能ならばスポーツ健康科学部の大学院に進んでほしい。これは日本とアメリカの指導者の違いなのですけど、アメリカの指導者はドクターの資格を持っている人が結構多い。日本は本当に少ない。単なるクラブ上がりのために、連盟のいろんなコンプライアンスの問題、ガバナンスの問題を起こしている。そこにこれからは立命館の出身者が出て行って運営できるようになっていってほしいというのが私のお願いです。

水田
 谷川先生がおっしゃいました。種目によって違いはあるのでしょうけど、関東に負けていいのか。関東に負けないチーム作りをして行きたい。ここにおられる皆さん方が輝いてこそ立命館の学園の輝きに結びつきます。そして全国に散らばっているOBの皆さんが、それぞれの選手、チームに大きな期待をかけているます。立命館のアスリートらしい、これからのご活躍をスポーツフェローとして祈念して討論会を閉じたいと思います。

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