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第7回「学生スポーツとコンプライアンス」討論会

   
コーディネーター  水田 雅博  立命館スポーツフェロー副会長
パネリスト 國廣 敏文  学校法人立命館常務理事 立命館大学スポーツ強化センター長
       重信 和芳  SMBC日興証券 商品・法人コンプライアンス部副部長
       正徳 孝夫  立命館スポーツフェロー総務委員長
      井上  潤  立命館大学体育会 硬式野球部3回生
      江口  遼  立命館大学体育会 準硬式野球部2回生 
 2014年(平成26年)
9月27日(土)
立命館大学衣笠キャンパス 
       
 (敬称略)

水田
 このように学生とOBがコンプライアンスについて話し合う大学は立命館だけです。そういう意味では皆さんは本当に幸せだと感じております。私が学生の頃は、非常に自由て明るくて好き放題という時代であったということも事実です。そう考えると皆さんは少し気の毒だという気持ちもありますが、それでもこの時代に立命館として勝っていただくためにはこうした場が非常に大事です。

 この討論会で、初めて登壇されました、硬式野球部の井上君、準硬式野球部の江口君から自己紹介を兼ねてご挨拶と、講演を聞いての感想をいただきたいと思います。
 次ぎに講師の先生方も講演会の感想や、ご講演いただいた以外のお話しがありましたらよろしくお願いします。

井上
 今回コンプライアンス講習会に出席して、一番印象に残ったのは「マナー」です。「マナー」挨拶というものは一番大切なものだと感じました。初めて会う人でも最初は挨拶から始まり、しっかり挨拶できれば良い印象を与えるので、さわやかな笑顔で挨拶をしようと思いました。

江口
 コンプライアンス講習会を聞く中で、学生にとって一番大切なことは飲酒にかかることだと思いました。過度な飲酒によって倒れてしまい、最悪、死亡事故になった場合、クラブだけでなく大学にも迷惑をかけるので、非常に重要な事だと認識しました。

國廣
 皆さんのお話を聞いて、やはり普段の日常が非常に大事だということです。いろんな問題が起こる前に普段からモラルやマナーをきちっと身につけることが、非常に大事なのだということを講師の皆さんはおしゃっているのだと思います。コンプライアンスというのは問題が起きてから対応するのではなくて、その前に対応する。みんなは社会人としてこれから卒業していくわけですから、その基礎を大学時代に身につけて欲しいということだと思います。

重信
 改めて感じましたのは、この「学生スポーツとコンプライアンス」が7回続いているということは、立命館大学もそうですが、やはりOBの方が後輩をものすごくかわいがっているのだという印象を持ちました。関係者の皆様もそうですし、聞いている学生の方も、全部覚えなくていいと思いますね。飲酒の話でもいいですし、挨拶の話でもいいですので、一つだけ、話を持って帰って自分ものにしてほしいと思います。

正徳
 先程のマナーに若干関係するかもしれませんが、先輩と後輩との間のことを学生の皆さんはよく認識をして欲しいと思います。例えば皆さんが試合の時または練習をしている時、先輩が応援に来る。こういう時は、恥ずかしがらずにきっちりと挨拶をしてください。しっかりと感謝の気持ちを示してください。その先輩は後輩のために、お金を使って時間を使って応援に来ているのですね。家庭の用事もほったらかしてきているのですね。マナー=思いやりの気持ちなのですけど、感謝の気持ちも同じなのですね。 従って、先輩の顔を見たときは感謝の気持ち、そしてその感謝の気持ちに応えるためにも試合で頑張る、勉強も頑張る、そういう気持ちになっていただきたいと思います。

水田
 私も監督をしていて、試合会場にOBが来ているのに学生が挨拶をしないと、非常に寂しいということもありますので、OBかどうかわからなくても挨拶した方がいいのかなあと感じていますね。

 選手代表として何か感じていることがあれば井上君、江口君お願いします。

井上
 この討論会で、何か一つ持って帰ってほしいなというお話がありましたが、何か良いと思ったことを部に還元するということが大切になってくると思います。

江口
 今大学生活で先輩と後輩が関われるというのは、体育会の部活が一番だと思うのでそこで礼儀とマナーをうまく身につけれたら、社会に出ても何かにつながると思います。そうすると他の社員とも相乗効果でうまくつながれていくのではないかなと感じました。

水田
 スポーツの究極の目的は勝つことなのですが、もちろんルールを守らなければいけないとか、様々なハードルを越えながら勝っていくことが大事です。國廣先生、勝つことを究極の目的ということを表に出した形でのコンプライアンスとは、非常に微妙な部分があるのですが、國廣先生のスタンスをお聞かせください。

國廣
 企業でも、利益を上げればいいんだという会社は、ブラック企業という風に見られてしまう。大学のクラブもいろんな手を使って勝った方が勝ちだよという考え方もあります。大学のスポーツは、オリンピックや世界レベルを目指すのですけど、その中で人間として、あるいは社会人としていろんな力を身につける、ある意味で教育の一環なのですね。「俺は野球が好きだ」「俺は柔道が好きだ」と「やれればいいんだ」ということだと、技術的にも上手くならないし向上心が出ません。勝利至上主義と教育というのは矛盾するようですが、勝たなければいけないしできるだけ高い目標を掲げてほしい。「立命館スポーツ宣言」「立命館大学 学生アスリートの誓い」、こういう高い目標を目指して頑張ってほしい。高い目標ですが実現できない目標ではないので、向かってやるということが大事なのです。目標と手段との関係とはそういうものだと思います。

水田
 重信先生、企業の目標というのも、やはり勝っていくこと、勝ち残ることと考えますし、その点ではスポーツとある意味では共通すると思います。先程、イノベーションをしっかりとっていくために、崖っぷちのリスクの必要性もあるが、間違ったら崖っぷちから落ちる。企業においてもその点が大事なのかなというお話でしたが、両面をどのようにバランスをとってやっていくのかアドバイスをいただきます。

重信
 そうですね。一つは考え方、背中に筋が通るというか、ゴルフ部の方はわかるかと思うのですけど背骨って絶対動きませんよね。軸、自分の考え方をしっかり持つ。まず、目的、成果を出すということは、自信にもつながるので、努力をするということは大切です。ただ、一方で「アスリートに誓い」にあるように、ルールを守ってフェアープレーというのがあるじゃないですか。勝ちたいですけど、ずるをしてまでも勝つのかと。そこのところは、その人の考え方だと思う。「学生アスリートの誓い」、こういうものは、ちょっと気恥ずかしいところがある。でも実は大切なことなんですね。最初恥ずかしいかもしれないけど、2回、3回続けると全然恥ずかしくない。1回生が4回生になるとこういう場面でも全然恥ずかしくないです。そういう風になってほしいなと思います。

水田
 正徳先輩、勝つことと学生のコンプライアンスと言う点について一言いただければと思います。

正徳
 やはりスポーツをやっている限りでは、目標は勝つことです。勝つためには努力をする。努力をして相手に勝つためにいろんな技を繰り出します。法律に違反するとかマナー違反することとは別のことですね。自分が努力するということと、自分が正義をもって真摯な気持ちで取り組むということは、一時的には自分はバカ正直かと思っても、それをやることによって、いろんな意味で自分にプラスとなって跳ね返ってきます。それは同時進行と思って取り組んで欲しいと思います。

水田
 井上君、硬式野球部は多くの部員がいらっしゃいますが、そんな中で、このような話がクラブの中に浸透していくと素晴らしいのですが、クラブの中ではいろんな部員がいます。3回生という幹部の年になってそれをどう乗り越えて行こうか。いろんな課題を克服して、いろんな選手がいる中でチーム作りというのが必要だと思うのですが、その点はどうでしょうか。

井上
 硬式野球部は人数が多くていろんなところから選手が集まっているので、いろんな考えを持った人がいます。私は学生コーチをしていて、チームをまとめるという立場にあるのですが、目標はそれぞれ違い、練習でも意識の差や態度の差があるので、それを解決すために、学年や全体でミーティングを行ってチームの目標を明らかにしています。そして「また全員で頑張ろう」としています。何かあるたびにミーティングをして解決をしていく形をとっています。

水田
 チームでのミーティングの中でもいろいろと課題はあるのでしょうね。

井上
 そうですね。やっぱり難しい問題もあるんですけど、「仕方ない」で済ましたらだめなので、考えてやっています。

水田
 江口君、チームの中を一つにまとめるというのはなかなか難しいのかな。それと、2回生という中間的な立場で、今チームづくりという点でどのように考えられます。

江口
 先輩達は勝つために何をすればよいのかを一生懸命考えて考えて模索して、それをチームにどう生かすかを考えて言っていると思うんですが、試合に出ていない部員などは、深く考えていないようなところが見受けられます。そういう時こそ、誰かが団結できるような言葉を発信するとチームが波に乗ることもあるので、そういうことがチームにとって大事だと思います。

水田
 スポーツ選抜、指定校推薦、一般入試で入っていた選手、それぞれがそれぞれの役割を果たしながら、リードを取っていくということが、立命館大学体育会の素晴らしいところだなと自分自身では感じてるんですけど、國廣先生、様々な選手が集まって一つのチームとして勝つことについてはどのように感じていらっしゃますか

國廣
 様々な入試という話しがあったのですが、立命館は他の大手の私学と全然違うところがあるんですよ。5割の学生は関西以外から来てるのです。同志社は4割、早稲田や慶応、あるいは関学・関大などは7割〜8割地元圏から来ているのです。立命館は日本全国からいろんな学生が来てるんですね。それが一緒になってここでスポーツをして勉強をしていろんな組織的な活動やっている。いろんな者が混ざり合うということは、考え方が違うし育った環境も違うので運営するのは難しいと思うのです。他方で考え方が違っても、「あいつ俺にないものを持っているな」とか、「あいつ面白いな。ここがいいんだ」。みんな同じような顔をして同じような発想をしたら気持ち悪いですね。全然違う者が、組織を運営していくいという、そこに良いところがある。
 時代は変わっているのだけれど、若い時代にはいろんな悩みもあるし、苦しむことあります。それは競技のことで苦しむこともあるし、プライベートのことで苦しむこともある。スポーツをやりながら勉強、あるいは将来どうするか悩むこともある。彼女とつき合っていてうまくいかないということもある。そういうことを先輩や後輩、友達を話しながら自分自身成長したり考え方を身につける、そういう素晴らしさがあるのですよ。
 私は役職柄、全国の校友会を毎月のように回るのですね。そうすると、70、80歳の先輩が来るのですよ。 何でこんなご年配が来るのかと思っていたのですが、最近わかったのですが、 やっぱり大学では社会人として人間としての基礎ができるのです。この時代の先輩、友達というのは一生続きます。人生の出発点にみんないるんで、今の時点で経験することが絶対に宝になるのです。

重信
 江口さんや井上さんの悩みは大学生だけじゃなくて、社会に出てからも一緒です。 会社に入っても嫌な上司はいるし、嫌な働かない後輩もいるし、言うことも聞かない後輩もいます。その中で何とかやっていかなければならないわけです。ましてやこれからグローバルになっていきますので、皆さん社会に出たときは、日本人だけではなくいろんな国の人とつき合わなければいけない。個性というのは認めざるを得ない。個人が全部目標に向かってと言うのは難しいかもしれないけれど、やっぱり一人でもそういう仲間を増やす。それと、気をつけてほしいのはコミュニケーションを高めてほしいと言いましたが、だいたい、3回生になってくると下の人に命令口調で言うでしょう。しかし「お前駄目じゃないか」と言ったらそれで話が終わるのです。会話技術というものを学生の時に身につけていただきたい。國廣先生のレジュメの中に、「クラブ・サークルで身についた点」という項目の中に、「現状を分析して問題点や課題を明らかにすること」が得意だ、「自分で目標を設定して計画的に行動すること」が得意だというのがあるのですが、まさに強みを生かしてほしい。それはリーダー一人ではできない。だから3回生も協力してほしい、一人でも良いから仲間を増やしていくことが大事です。命令ではなくて対話を通じてです。

水田
 一通りの意見が出そろったので討論会はこれで締めていきたいと思いますが、いずれにいたしましても学生選手として、これから秋のシーズンを活躍をしていただかなければなりません。勝って勝って勝ちまくる立命館が、このコンプライアンスを頭の片隅に置きながら頑張って、これからもチーム作りを目指していただきたいと念願をいたしまして、本日の討論会を締めくくりたいと思います。

 

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