第2回「学生スポーツとコンプライアンス」
講演会・討論会・懇親会 開催

〜学生により近づき、そして共に考え、行動する〜

  9月26日(土)、立命館大学衣笠キャンパスにて、体育会現役学生・立命館スポーツフェロー関係者、大学関係者等約400人を集め、立命館スポーツフェロー主催の第2回「学生スポーツとコンプライアンス」が開催されました。  

                                         (敬称略)
講演会

 司   会  立命館スポーツフェロー事業委員長          橋   誠
 開会挨拶  立命館スポーツフェロー副会長             林   國松
 講   師  立命館大学学生部部長                  種子田 穣
         元京都府警警視正 学校法人ヴィアトール学園
         洛星中学・高等学校理事                早川   寛
         立命館スポーツフェロー常任幹事            森田  恒雄

講演内容(要旨)
種子田 穣

 体育会諸君は、一人一人が大学の代表であり、体育会活動の結果は立命館大学に関係するすべての人を喜ばせている。諸君は一人一人がその力を持っており、全国の校友の皆様も立命館のスポーツを楽しみにしている。そのことを誇りにしてほしい。体育会はスポーツサークルと違い競技スポーツのクラブであり、個人個人がスポーツを楽しむ場ではない。単にスポーツが好きでスポーツを楽しみたいという学生は立命館には不要である。
 大学にてスポーツ施設を充実させるのには莫大なお金が必要である。体育会活動に多くの予算を充てるのは、体育会の結果が立命館に関係する人々に希望と喜びを与えるからである。また、生き甲斐を持って活躍できる人材を育てるためである。競技スポーツを続け結果を出すためには辛いことが多い。チームが目標に向かって困難を乗り越える、自己ベストを更新する、リーダーシップを発揮してチームを運営する、そのようなプロセスの中に様々な人間の成長の機会があるから大学も体育会活動に力を入れている。
 他大学で体育会員による不祥事があったが、これは本人に自覚がないためである。スポーツにはルールがあるが社会にも同様にルールがある。ルール違反がダメなのは当たり前であるが、スポーツ人は一般の人々よりもルールを守らなければならない。犯罪だけでなく生活態度においても、誇りをもって日々の生活をおくらなければならない。つまり、体育会員は学生の模範にならなければならない。誇りを持ち立命館の顔になる。諸君はその責任を担っている。
 諸君が、中学・高校生時代に、大学のスポーツ選手に憧れていたかもしれないが、今、諸君はその選手・少年の憧れなのであり、その自覚を持ってほしい。諸君は立命館の「顔」だ。試合会場では立命館の代表であり、その立場は「立命館大学総長」であると言える。
 体育会だけが頑張ってもダメ。学生部だけが頑張ってもダメ。体育会も学生部もスポーツ強化センターもすべて一つのチームだ。一緒に頑張ろう。


早川  寛




 大学スポーツ界の不祥事が連続して発生しましたが、一般の人々は大学の体育会には好意を持って見ており、不祥事はこの期待を裏切ったことからマスコミに大きくとらわれていました。不祥事はそれによりその学生の将来に大きな禍根を残すことにもなります。スポーツはルールのある世界であり、スポーツをする人間はそれを守ることが大切なのです。先輩と後輩との過度の上下関係も一般の人々には通用しません。マスコミ報道により、体育会の不祥事は個人よりそのチームの体質が問題ではないかととらわれかねません。
 体育会でなぜコンプライアンスが必要かと言いますと、不祥事によりクラブが存続の危機にさらされることにより、次の世代にチームを引き継ぐことができなくなる可能性があります。また精神的・社会的に大きな損失を受けることになり、クラブ員の平穏な生活が確保できなくなります。それにクラブのブランド・大学の評価にもマイナスとなります。皆さんは「立命館大学」の名を背負って活動しているのです。新入生が入部しなくなり優秀な人材が確保できなくなります。
 では、コンプライアンスについて学生としてどう対応するのか。まず法律に触れることは絶対にしてはいけません。社会人になっても同じで、当たり前のことです。また法律に触れない行為でも、社会的に批判を受けることもあります。一般の人々の常識に合わないことはダメです。学生の常識で行動してはいけません。もしチーム内で不満を持っている部員がいれば、チームの仲間として気を付けてあげましょう。
 次に、幹部は危機対応の重要性を認識しなければなりません。もし不祥事が発生してもきっちり対応し上手に修正しなけばなりません。また絶対に隠蔽はしてはダメです。必ず失敗します。大学側に報告して修正することです。違法行為は即報告することです。
 コンプライアンとは決して難しいことではありません。やってはいけないことはやらない。やらなければならないことはやる。人々の前で堂々と言えるか、堂々とできるか。恥ずかしくて言えないこと、できないことはやってはいけないのです。


森田 恒雄



 人権侵害を受けた人間は、自分自身ではどうすることもできず、不当な扱いを受けることになります。例えば、女性差別ということがありますが、女性はどうしても男性にはなれないのです。
 また、日本には「からかいの文化」というものがあり、異質なものをからかい笑うということがあります。からかう行為がテレビ等の普及により広まってしまったということもありました。人をからかったり、からかわれている人を笑ったりするのではなく、からかいをする人物を排除する。そのような人権感覚を持たなければなりません。
 体育会はスポーツであり、勝負の世界です。「勝つ」ということにこだわり持たなければ勝つことはできません。もちろん勝つためのプロセスも重要であります。勝つ、強くなるためには、体罰等の古い精神論が功を奏したこともあるかもしれませんが、「伝統」と「伝承」とは違います。「伝承」とは、ありのままをそのまま伝えることであり、「伝統」とは、良いものを残し新しい良いものを注入して伝えることであり、精神論は「伝統」ではありません。底流にあるものは何かを考えなければなりません。
 また「いじめ」は、被害者側には落ち度は全くありません。いじめられた者も悪いなどと言う者もいますが、いじめた方がすべて悪いのです。何の根拠もなく「見てきたような嘘をつき」人に接してはダメです。「・・・・のくせに」などと人に言ってはいけません。
 こういった悪しき事柄を一つ一つなくしてゆくことが、コンプライアンスには必要です。 
 排除された人間が、そのままズルズルと犯罪につながってしまうケースがあります。排除された人間には「人間愛」が必要なのです。「好き」ということは自己中心のレベルかもしれませんが、自己を犠牲にしてまでその人間を救うのは「愛」であるのです。
 「しんどい」ことから逃げる者がいるクラブは存続しません。「しんどい」ことをする先輩は後輩から信頼されます。競技に対して情熱と使命感を忘れないでください。 


                                         (敬称略)
討論会

 コーディネーター  立命館スポーツフェロー会長              村岡  治
 パネリスト    立命館大学学生部部長                  種子田 穣
           元京都府警警視正 学校法人ヴィアトール学園
           洛星中学・高等学校理事                早川   寛
           立命館スポーツフェロー常任幹事            森田  恒雄
           立命館大学体育会ハンドボール部 4回生     水野   亮
           立命館大学体育会準硬式野球部3回生       矢野 良祐
 始めにパネリスト一人一人がマイクを握り、水野君は、「チームメイトに対して上回生としての姿勢を示さなければならない。体育会という良い活動を通じて良い人物になりたい」等と語りました。また、矢野君は、「体育会の一員として自覚を持つことが大切。自分の“ファン”をつくり、“ファン”の期待を裏切らないように心掛けている」等と語りました。
 この後、参加者との討論では、@飲酒・酒気帯び運転はもちろんダメであるが、未成年飲酒もダメである。 A 部活動中以外の「オフ」に不祥事が多いのではないか? オフでは考えが甘くなり「ハメ」をはずしすぎることがあるのではないか? 等の発言がありました。これに対してパネリストからは、「テレビには常に電気が流れているから、電源スイッチを入れるとすぐにオンになる。クラブ活動のオフでもテレビの電流と同様に、電流=「メンバーの一人という認識」を持たなければならない」等との発言がありました。
 最後に、「我々体育会員はアスリートであり組織人である。やってはいけないことは一般の人々と同じであるが、高いレベルが期待されていることを自覚しなければならない。欲望に負けそうになった時はチームメートの顔を思いだそう。我々は立命館の一員であるということに誇りを持とう。」と総括されました。


                                  (敬称略)
懇親会

 司会     立命館大学準硬式野球部3回生           矢野 良祐
 乾杯     立命館大学学生部スポーツ強化センター課長  高見澤 篤
 閉会挨拶  立命館スポーツフェロー幹事長            田渕 實勝

ホーム  事務局からへ