第12回「学生スポーツとコンプライアンス」
2019年(令和元年)
9月16日
立命館大学
衣笠キャンパス
以学館
「学生時代の過ごし方 夢に向かって何をすべきか」
〜有意義な時間の使い方:ポジティブ思考〜
馬淵 優佳 スポーツ健康科学部2017年卒
2013年にスポーツ健康科学部に入学して2017年に卒業しました、馬淵優佳と申します。
大学を卒業して1ヶ月後くらいに入籍しまして、本名は瀬戸優佳と申します。主人は水泳選手の瀬戸大也といいます。来年の東京オリンピック出場が内定しました。
私は大学時代、飛び込み競技をやっていました。飛び込み競技も水泳競技の一つなんですけど、競泳とは違ってマイナーな競技なので、その競技の話なども含めて今日はお話ししたいと思います。
プロフィール
1995年、阪神淡路大震災が発生したすぐ後の2月5日に生まれました。父が飛び込み競技の日本代表のコーチだったので、その関係もあって3歳の時から飛び込み競技始めました。主な戦績ですが立命館大学を卒業した年のユニバーシアード女子総合で銅メダルをとって、その後引退しました。
今日お話ししたいことを3つまとめて来たのですけど。まず飛込競技の魅力と、私が4年間、学業と競技の両立をどうやってきたかということをお話ししたいと思います。そこから私が学んだこと、今1回生の学生さんたちにどういう心をもって生活してほしいかということをお話ししたいと思います。
1 飛込競技の魅力
飛び込みプールの飛び込み台は一番高いところで10メートルありまして、だいたい建物の4階くらいになります。飛び込み選手はみんなそこから2回半、3回半回転して入水します。よく「怖いの」と聞かれるのですが、めちゃくちゃ怖いです。高いので怖いのですが、失敗した時にすごく痛いので、その恐怖心と戦っています。ちなみに私は高さ3mの専門で、怖いから10mはあまり飛ばないです。父に「怖いからと3m」と言って特別に3mを専門としてやってきました。飛び込み競技は7人の審判による採点競技です。女子は5回、男子は6回、異なる飛び方をするのです。その技の難易度や空中の姿勢、入水する時に水しぶきが上がらない技術があるのですけど、その美しさを見て採点されます。3mは跳ねる板があり、跳ねかえりを利用して高くジャンプして入水するのですけど、やっぱり失敗すると痛くて、私も国際大会で失敗した経験があるのですが、めちゃくちゃ恥ずかしいです。3mでもそこそこ痛いのですけど、10mで失敗すれば皮膚にみみず腫れができるのです。飛び込み競技っていろんな競技の中で一番演技が短い種目です。2秒の中で技を競っているのですけど、一瞬の美を追求してやっています。
2 学業と競技の両立
(1) 大学生活で大変だったこと
ア 通学時間
2013年に入学して、勉強をしながら競技を続けて来たのですが、やっぱり思うようにいかないことがたくさんありました。大学生活で大変だったことを3つ絞ってあげさせてもらいました。
まず、通学時間が私の場合すごく大変だったのです。実家が兵庫県の宝塚で、競技場所も宝塚なのです。場所を変えたくなくて宝塚から大学に通う選択をしたのですけど、2時間以上かかりました。それは入学する前からわかっていたことなので、自分で決めたことはやり通そうと思ってがんばっていたのですが、1回生は1時限目が多く、週に2回くらい1時時限目が入っていました。1時限目がある日は5時半くらいに起きて6時20分に家を出て、8時50分くらいに大学に着くような生活でした。やはりすごく遠いので通学時間で疲れてしまうのです。1時限目が入っていて、練習が4時半からなのですけれど、3時限目まで受けると、もう練習に遅れてしまうのです。5時前にプールに着くので、授業を決める時も練習に遅れないように3時限目までにしたりとか工夫もしていたのですけど、やはり4時限目に入れなければいけない授業等もたくさんあって、プールに着くのが夜の7時になっていたのです。練習が9時までなので、2時間練習をダッシュでやっていました。大変きつくて、ストレスも感じ通学中におなかが痛くなってきて動けないとか、練習中に動けなくなってプールサイドで寝ているという状況がけっこうありました。でも大学を休んだことはないです。1〜2回生は大変だったのですけど、3回生、4回生は単位もしっかり取れていたので少しずつ、週に3〜4回、空く時間があって少し楽になってきました。
イ 勉強
高校はけっこう競技に理解のある高校だったので、実は出席日数の半分を休んでいました。授業も全然受けなかったですしテストもそんなに受けてなかったのです。そこから急に立命館大学に入ってみんなと同じように勉強して、全くわからなかったです。特に数学と英語。スポーツ健康科学部の方は英語がすごく大変だと思います。急に論文を書けと指示されて、それを発表するという授業なのですけど本当に大変でした。それと数学はすごく苦手なんです。スポーツ健康科学部は少し理系の要素も入っていると思うのですけど、微分積分というのがあって、高校でやっていなかったので私は聞いたことがなかったのです。先生が微分積分の公式をわかっていることを前提で授業をしていたのです。みんなもわかっている感じでしたが私一人聞いたことがない。友達にしつこいくらい「微分積分って何」「公式って何」というレベルの話から聞きました。友達は親切に教えてくれました。すごく助かったのですけれども、やっぱりわからなくて家で父に泣いてすがりました。「もう無理だよ。わからない。卒業できない」って言ったのです。そのとき父から「わからないのなら、やらなくていいよ」と言ったのですけど、そんなわけ行かないじゃないとけんかもしました。結局すごく勉強して何とか単位を取れたので、それは今でもみんなに自慢したいくらいです。皆さんにとっては普通のことかもしれませんが、私にとってはよくやったな、自分を褒めてあげたいなというくらいの出来事でした。勉強の方もたくさんの人に助けてもらいながら卒業することができました。
ウ 遠征や合宿のため授業の欠席
あと、遠征や合宿がすごく多くて、それによる授業の欠席もすごく多くて、公欠がないのでどうしようということで、たくさんの先生方に相談に乗っていただいて、課題を出してもらったりとか、配慮もたくさんしていただいて、なんとかやっていたのですが、やはりテストは受けなくてはいけない。授業を欠席すると90分の内容が丸々抜けてしまうので、どうしようと考えた時、友達にレジュメを毎週毎週とっておいてほしいとお願いし、授業の前にはLINEなどで「今日のレジュメよろしくね」というメールも入れて、そういう本当に些細なことだと思うのですけど一個一個やっていって、何とかみんなと一緒に卒業することができました。
皆さんも大変な事はそれぞれ違うと思います。本当に学業と競技の両立って簡単ではないですし、どっちもがんばろうと思ってもなかなかがんばれない時ももちろんあるのですけど、一つ一つのことを丁寧にすることで、誰かは必ず見てくれてますし、応援してくれる人も少しづつ増えてくると思うので、「今日はいいや」と思わずに、ちゃんと提出物を出したりとか、授業に遅刻せずに出席したりとか、そういう細かいところでがんばっていってほしいと思います。
学生時代に大変だったことを語ったのですけど、今思うといい思い出ですごく楽しかったです。「あなたの青春はいつですか」と聞かれたら、迷いなく大学生活と答えます。高校は競技一本でやってきたので、遊びとか恋愛とかも全部競技に捧げてきたのですが、大学生活では競技もやりつつ友達と楽しい思い出もたくさんできましたし、いろんな授業を通して本当にたくさんの人と出会うことができました。それは高校の時とは大きく違うなと思います。高校はクラスが分かれていて、その中で、30何人の中で完結するような授業ばっかりだったと思うのですけど、大学に入るとみんなそれぞれ学びたいことがあって、自分で授業を選択して、いろんなスポーツなどをやっている学生達と一緒に回生も関係なく学んでいるところだと思うので、本当に貴重な場所だと思います。皆さんはその出会いというのを無駄にしないで、たくさんの友達や仲間、思い出などもたくさん作ってもらいたいと思います。
3 大学生活で心がけてほしいこと
(1) 目標を持って生活する
まずは、目標を持って生活することが大事だなと思いました。私は高校生の時に、世界水泳という大会に代表で出させてもらったのですが、それから少し怪我もあって、思うように成績が残せなかったのです。引退という言葉が頭に浮かんだ時に、何も目標にせず大学を卒業したら引退ということはしたくなかったのです。何か達成してからやめようと思いました。2回生の時に今の主人と出会ってお付き合いしていたのですけど、まだ主人と一緒の大会に出たことなかったのです。一緒に大会に出たいという目標を持ちました。その目標に向かって大学を卒業するまでがんばってきました。目標があるとがんばれます。主人とお付き合いをして家に伺ったことがあるのです。初めて伺った時にトイレの中に、その1年間の目標と目標に向けた細かい日々達成すべきことを箇条書きでにして貼ってあるのを見ました。トップを目指す選手というのは、常に目標を細かく持ってやっているのだと感じました。大なり小なり目標があると思います。それを忘れないように日々見えるところに書いてほしいと思います。
(2) 友達をたくさん作る
これは大学生活で一番やってほしいです。私は先ほど言ったとおり勉強ですごく困っていました。それを助けてくれたのは友達なんです。本当に友達に助けてもらって、通学時間も長いので休みの日に泊めてもらったりいろんなところへ遊びにいったりとか、授業の情報もたくさんもらいましたし、友達は財産だと思うのです。卒業してから仲のいい友達ことは離れていて、鹿児島や名古屋とかみんなバラバラなんですけど、今でもLINEなどで「誕生日おめでとう」というメッセージが来ます。そういうことはすごくうれしいし、やっぱり大学に戻りたいなという気持ちになります。皆さん1回生で卒業はまだまだ先だと思うのですけど、本当にあっという間で、1回生の時は4回生ってすごく大人に感じたのです。実際に4回生になってみると、本当にアッという間で自分の気持ちが追い付いていないのです。それくらい本当に早くて大学生活って瞬きしないくらい終わってしまいますので、これから長いなと思うかもしれませんが、終わってみると本当に短いので、その間にたくさんの友達を作ってほしいと思います。
(3) 何事にも“挑戦”する
就職をして、このように講演をさせてもらったり、メディア関係のお仕事もさせてもらっているのですけど、何か挑戦するのにはすごく勇気がいるのです。社会人になって何かしたいなと思うときなかなか行動に移せなかったり、それでけっこう時間がかかったりして、タイミングが過ぎてしまったと思うことがあります。大学生活で極論を言えば、テストを受けて単位を取れば誰にも何も文句を言われないのです。その残りの時間を何をするか考えたときに、それぞれ何かを得て卒業してほしいと思います。ただ単位を得るだけでなくて友達を得るとか、あと何かする、何でもいいのですけど、部活をがんばり目標を達成する。何かを得て卒業してほしいと思います。
そして、皆さん、立命館大学のプライドを持って、スポーツ選手としてのプライドを持って4年間を過ごしてほしいと思います。
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